歯を失ってしまった場合でも、健康的で快適な食生活を取り戻す方法は決して一つだけではありません。
当院では、歯を補う代表的な手段であるインプラント治療のほか、自家歯牙移植(患者様ご自身の歯を移植する治療)にも取り組んでいます。
それぞれの特長や適応を見極め、可能なかぎり自分の歯を生かした治療や、しっかり噛めるインプラント治療など、幅広い選択肢をそろえています。
複雑な症例では専門病院との連携を行い、より安全かつ納得度の高い治療を目指しています。
インプラント治療とは

インプラント治療は、歯を失った部位のあごの骨に「インプラント体(人工歯根)」を埋め込み、その上に人工の歯を装着する方法です。
天然歯に近い見た目や噛み心地を取り戻せるメリットが大きく、しっかりメンテナンスすることで長持ちしやすい特長があります。
当院では、デンタルインプラントシステムやサージカルガイド、インプラント用ドリルなど専用の機材を活用し、骨の状態に合わせた正確な処置を心がけています。
トルクレンチ(インプラントの挿入圧力を測定する器具)を用いて、適切な力加減を管理しながら安全に埋入することで、術後の安定を高めます。
インプラントオーバーデンチャー
歯を多く失ってしまった場合や総入れ歯に悩んでいる方には、インプラントオーバーデンチャーという方法もあります。
これは、数本のインプラントをあごの骨に埋め込み、それを固定源として入れ歯を安定させる仕組みです。
通常の総入れ歯よりグラつきやズレが起こりにくく、噛み心地や会話のしやすさが向上する点が特長です。
入れ歯特有の違和感を軽減しながら、比較的しっかりした固定力を得られるので、食事の楽しさを取り戻しやすくなります。
インプラントオーバーデンチャーについては入れ歯のページも御覧ください(リンク)
自家歯牙移植とは

自家歯牙移植は、患者様ご自身の不要な歯(たとえば矯正治療で抜歯した歯など)を、欠損部へ移植する治療法です。
インプラントのように人工物を埋め込むのではなく、自分の歯を利用するため、体が受け入れやすく骨との結合も期待できます。
また、治療後も歯の神経が生きていれば、自然に噛み合わせやすい利点があります。
当院では、矯正で抜歯した歯を移植するなど、矯正の専門家と連携しながら適応を見極めて治療を行います。
自家歯牙移植に用いる機材
- 歯科用エレベーターや歯科用ドリルを使い、抜歯と移植を安全に行います。
- 必要に応じて骨移植材料を補い、移植した歯が安定しやすい環境を整えます。
- 歯科用ルーペを活用することで、視野を拡大し、繊細な処置をサポートしています。
当院でインプラント治療・自家歯牙移植を受けるメリット
精密検査と安全性

インプラント体の埋入や自家歯牙移植を行う際、デンタルCTを用いて骨や周囲組織の状態を細かく把握しています。
サージカルガイドという補助器具を活用することで、手術の角度や深さを正確にコントロールし、神経や血管に影響を及ぼすリスクを抑えています。
複雑な症例でも安全面を第一に考え、骨量が少ない部分への骨移植や矯正専門医との情報共有など、必要な措置を慎重に検討します。
こうした精密検査と術前計画により、患者様が安心して手術に臨めるよう努めています。
多様な選択肢
歯を失った場合、通常はブリッジや入れ歯といった従来の方法がありますが、当院ではインプラント治療や自家歯牙移植など、幅広い選択肢を提示しています。
例えば、歯を多く失った方にはインプラントオーバーデンチャーの選択肢があり、入れ歯の安定感を高められます。
自家歯牙移植も、不要な歯を移植に活用できるため、人工素材を使わずに自分の歯で噛む感覚を取り戻せる可能性があります。
患者様の症状や希望に合わせて、最適な治療法を一緒に考えられる点が強みです。
矯正との連携
矯正治療で抜歯した歯が活用できる場合、自家歯牙移植として有効に使うケースがあります。
骨格的な問題や歯並びを総合的に判断するため、矯正専門医とも密に連携し、将来の歯並びや噛み合わせを考慮しながら治療を進めます。
単なる欠損の補綴だけでなく、歯全体の機能や美しさを長期的に保つ方法を追求できるのがポイントです。
こうした多職種連携により、患者様が得られるトータルなメリットが大きくなると考えています。
長期的なフォロー

インプラントや自家歯牙移植は、施術後のメンテナンスが治療成功の鍵を握ります。
インプラント周囲炎などのトラブルを防ぐためには、定期的なクリーニングと検診が不可欠です。
当院では術後の状態を確認しながら、歯磨き指導や歯周ケアを継続的にサポートし、万が一の異常を早期に発見・対処します。
移植した歯についても、根の生着具合や噛み合わせの変化をフォローし、必要に応じて調整や追加治療を行います。
治療後の不安を解消し、快適な口腔環境を守り続けやすくなります。
当院で行う治療の流れ
1. 検査とカウンセリング
歯科用マイクロスコープやルーペで口腔内を観察し、インプラントまたは自家歯牙移植の適応を判断します。
それぞれの利点や治療期間、費用などを丁寧に説明し、患者様と話し合いながら治療法を決定します。
2. インプラント治療の場合
骨量が不足している場合には、骨移植材料やボーンソーなどを使って骨の再生を助けることもあります。
一定の期間でインプラントと骨が結合した後、人工の歯(上部構造)を装着し、噛み合わせを調整します。
3. 自家歯牙移植の場合
歯根や骨の形態が適していることが確認できれば、移植した歯が根付きやすく、噛む感覚が自然な仕上がりになる可能性があります。
移植後は歯根の生着状況を観察しながら、歯の神経が残っている場合は必要に応じて経過をフォローします。
4. フォローアップとメンテナンス
定期的に通院していただき、歯周病の検査や噛み合わせのチェック、クリーニングなどを行います。
インプラント周囲炎や移植歯のトラブルを防ぐためにも、日々のブラッシング指導とプロによるケアを並行して続けます。

複雑な症例は専門病院との連携して治療します
骨が大きく欠損している場合や重度の歯周病が進行している方など、リスクの高い症例については専門病院とも連携を取っています。
場合によっては大学病院や専門クリニックに紹介し、より安全で確実な治療を受けられるよう調整します。
当院は「まずは相談したい」という気持ちを大切にし、複雑なケースでも患者様が安心して治療を選べるような体制を整えています。
こんな方はぜひご相談ください
- 歯を失ったまま放置していて噛み合わせが悪くなっている
- 部分入れ歯に違和感があって食事が楽しめない
- 骨が足りないと言われてインプラントを断念したが、再度検討したい
- 矯正で抜いた歯を有効に活用できないか知りたい
- 総入れ歯で安定しないため、オーバーデンチャーに興味がある
インプラント治療や自家歯牙移植は、「もう歯がないから仕方がない」「入れ歯しか方法がない」とあきらめていた方に新たな可能性をもたらす治療法です。
当院では骨や歯の状態、ライフスタイルを丁寧に考慮し、最適な治療プランを提案します。
歯を失ったままでの生活を続けるよりも、早めにご相談いただくほど選択肢が広がる傾向にありますので、気軽にお声かけください。
一人ひとりの笑顔と健康を守るために、スタッフ一同が丁寧にサポートいたします。